弱者男性が英雄になる日

<前回くらいまでの内容>
暗く目立たない性格で、経済力も無く、女性からまるでモテない弱者男性。
彼の名は
- 地球名:勉座 黄治郎(べんざ きいじろう)
- 宇宙名:ツィギューノ・オンターマ・ツキガスキー
- 通称:チー牛
一応、彼は宇宙人の襲撃から地球を救ったヒーローではあるが、冴えない外見を嫌悪した米仏の大統領によって、強制的にロケットに乗せられて宇宙空間に追放されてしまったのであった。
地球を周回するロケット。
その中で、宇宙食のチーズ牛丼を食べながら、ぼんやりと地球を眺める男。
彼に他ならない、黄治郎(ツィギューノ)である。
「地球ではろくなことがなかった。
ある時なんか、女子が俺の顔を見るなり『あっ、チー牛だわ!』と小声で言うと、ガクガク震えだし、そのまま倒れ込んで救急車で運ばれたもんだ。」
と、女性から散々な扱いを受けてきたことを回想する。
するとそこへ、連絡が入ってきた。
「黄治郎(ツィギューノ)殿、応答願う。こちらはNASAです。」
「はい、なんでしょう?」
「貴殿に命を懸けたお願いがあります...」
「謹んで辞退します」
すると、ここでNASA職員の口調が変わった。
「この野郎!さっさとロケットを操縦して彗星に突っ込めよ!」
どうやら彗星が地球に向かって来ており、このままでは衝突する可能性が高い。
そこで、黄治郎(ツィギューノ)にロケットごと彗星に突っ込み、彗星の進路を変えて欲しいと依頼をしているようだ。
そうと知った黄治郎(ツィギューノ)は
「謹んで辞退...」
「この野郎!さっさと星になれ!!」
これで話の方向性は、有無を言わさず決まった。
どのみち地球には返してもらえないのだから、覚悟を決めて彗星に衝突し、英雄になって名を残そう。
黄治郎(ツィギューノ)は操縦桿を握ると、彗星に向けてエンジン全開!
そして、彗星に衝突っっっ!!!
.....衝突したものの、角度が浅かったためにロケットの大破はまぬがれた。
ミッション失敗か!?
そこへNASAから連絡が入る。
「ありがとう。君は英雄だよ。充分に彗星は軌道を逸れたよ。
ただ、ロケットは破損しているから操縦は不可能だね。」
そうか、成功したんだ。
彼は一人、満足そうに微笑む。
「君のことを称えるポスターを世界中で制作したよ。
日本語版の画像を送る。」
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うーむ、悪くない。
あとは漂うだけか。
と思っていたのだが、巨大な引力に引っ張られる!
なんと、ブラックホールが近くに存在していたのだ!!
NASAの職員たちも慌てる。
「長官殿、黄治郎(ツィギューノ)がブラックホールに飲まれているようです。」
「おぉ、それは都合がいい。」
「そうですね、大統領もお喜びになることでしょう。」
更には背後で、女性たちが大喜びする声が聞こえる。
黄治郎(ツィギューノ)には音声は丸聞こえなのだが、明らかに
「どうせ帰還できまい」
と、完全にナメられているに違いない。
しかし、そうこうしている内に、ロケットはブラックホールに飲まれ...
その瞬間である。
宇宙空間に、人類には全く聞きなれない声が響き渡った。
「オェェェ、チィィィギュュュダァァァ!」
これにはNASAも騒然。
「この声、ブラックホールから発せられているようです...!!」
そして、ブラックホールは、ものすごい勢いで逆流を始めた。
当然ながら、ロケットは吐き出され、なおかつ猛烈な勢いで地球をめがけて飛ばされて行くではないか!
そして、太平洋のど真ん中に無事に着水したのであった。
その様子を観察していたNASAの職員一同は呆然。
そして、黄治郎(ツィギューノ)を称えるポスターの差し替えを指示したのであった。
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【編集注】これはあくまでフィクションです。ルッキズムを初めとした、外面だけの評価は悪しきものに他なりません。